BHのマスコット・じんぼうくんがつづるブックハウスの毎日
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「黒井健先生と薫くみこ先生にお会いしました♪」
ポプラ社さんで月に一度開催されている絵本カフェなる夢のようなひととき、今月のゲストは黒井健先生と薫くみこ先生。
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(写真左:黒井健先生/写真右:薫くみこ先生)

f0101969_11381493.jpg今年3月に発売になった「赤いポストとはいしゃさん」(ポプラ社/薫くみこ 作・黒井健 絵)をお描きになったお二人です。黒井健先生は説明も不要でしょうが 独特の画風で大人気の現代絵本界を代表する作家さんです。 この絵本の表紙の 優しそうな(そしてハンサムな)男性と可愛らしいリスの親子が描かれたものを見ただけで 絵本のイメージがむくむく湧いてきませんか。 今回は黒井先生の絵本作りのお話を中心に、この絵本の制作についてお2人から伺いました。

【まず、この絵本を作られることになったきっかけは・・・】
以前から黒井先生と一冊の絵本を作りたかったという薫先生のたってのご希望で始まったというお話ですが、黒井先生へお話をお持ちし続け、なんと2年越しに実現したとのことです。 黒井先生が依頼を受けられるには8年かかる (!) ということもざらで 2年は早い方だそうですが、やはりこれは美女・薫先生の頼みということで特別なのでしょうか、黒井先生?!
文章を完成された薫先生、それを読んだとたんに発せられたご担当編集者の 「この絵は黒井先生にぜひ!」 という強力なひとことが後押しにもなり、黒井先生へとその文章が渡りました。

【黒井先生の絵本作りについて・・・】
「筆が遅いんだよね」 と黒井先生 (以下 黒)。 その理由、先を読めば納得です。

 「絵本に取り組む時まず最初に準備することは、場面作り。 文章を読んでいろいろと想像するんです。 風景の多いものはロケーションを決めたりしますが、この絵本はその必要がなかったので大道具作りから始めました。 この主人公の歯医者さんは独身の若い先生だな、きっと住居も共にしているだろう。 建物のイメージは古い洋館で眠るところはやっぱりベッドだな、シェードランプもある。 住居なら小さなキッチンもいるし冷蔵庫もクローゼットも・・ という感じで絵本に出てこない部分 (=住居部分) もきちんと設定するのです。 診療室には診療台は何台かな、新しいものではないな、絵本に出てくるトレーやストーブ、歯医者の道具なども細部に次第に入っていって、待合室があって受付があって・・・。 そういう作業の中で、だんだん彼の生活が見えてくる。 これで、何日か費やすのです」

―――先生の描かれたラフ画を拝見すると、この絵本の舞台となる診療所、そして歯医者さんの住居部分までが詳細に見取り図として出来上がっているので驚きました。私でさえも 歯医者さんがどんな生活をしているか イメージがどんどん湧いてくるような ラフ画です。
続いて、主人公のラフ画も見せていただきました。

 「さて、全体の設定が終わったあと、次は主人公を考えます。 文章を読むと これだけいい人だから小柄でずんぐりしていて 純朴・イモっぽいイメージだろう。 しかし、ふと美貌の薫先生のことだから、やっぱりハンサムなほうがいいだろうな~と思って すらっとしたハンサムタイプも描きましてね、両方を薫さんに見せ選んでもらったら、やはりそのハンサムなほうを選ばれて (笑) 」
薫先生(以下 ) 「(ラフ画のずんぐりした人を指し) みるからにいい人。 そういう人は、おかあさんにお手紙をきちんと書きそうじゃないですか。 ちょっぴり筆不精で、わかってはいるけれど不義理な部分がある・・そう考えてこちら (スリムな方) を選ばせていただきました。 もちろん私がメンクイだということもありますが・・」
 「なかなか作家さんにこうしてキャスティングを相談したりしないんですよ。 今回は特別。 薫先生のこの絵本にかける想い、その熱意を汲み取りたいと思って選んでもらいました」

―――黒井先生は 「ぼくは普通、作家さんの言うこと聞かないんだよ (笑)」 と。

 「ということで、今回 “ほっそりした人” を始めて描いたので難しかったです。 体の動きなど、今まで描いたことがなかったので新鮮でした」
 「主人公はすらっとしていて黒井先生ご自身をモデルにされていると思いました。(会場一同、うなずく。 黒井先生、すらっとして穏やかで ものすごいダンディな方なのですもの!)」

 「そうして、キャスティングが決まったら 次に見取り図の中に立たせていきます。 カメラアングルを考え、いろいろな選択肢が生まれます。 間取り図から、具体的な色、素材などもできていきます。 待合室の後ろの窓はどうしよう。 サッシは冷たいし、カーテンじゃないな、ステンドガラスにしよう。 イスはビニール?起毛?・・・といったような感じで素材を決めていきます。 テーブルはお絵かきをするときに出てくるから、後ろのステンドグラスと違和感のない色がいい。 そのようにして色も決まってゆく。 後ろは後でポストを置くところだから空けて、薪ストーブを置き・・。
必要なものを描けば描くほどじゃまになる。 きりがない。 しかしそれがとても楽しい作業です」

―――イメージをきっちり作っておくことによって矛盾がなくなり統一することができる、と黒井先生。 これだけ念入りに準備されているんですね。 うーむ。

 「色付けは、色鉛筆とクレパスで描いています。 クレパスを溶剤に近いもので溶いてのばしていく。 色がとても強くでるけど、細かいところが描けないのです。 様々な紙に塗ってみて、定着するためのスプレーを塗って描いてホワイトが一番出るのは何だろう、、などといろいろ試していると・・・」

―――黒井先生が筆が遅い? これだけの作業をこなしていらっしゃるのですから 当たり前ですね。 途方にくれるような作業です。
黒井先生は 「いつもきれいで安定していますね」 と言われるとちょっと複雑だそうです。 35年のキャリアがあり淀みなく物事を仕上げる方法ももちろんご存知ですが、予定通りに物事が仕上がっていくことは寂しい、新鮮味がない、とおっしゃいました。 「がらがらがらがら・・・ぽん!と突然できたものが面白い。 たとえしくじってもそういう危険を冒してもやっていきたいですね」。 決して年月に甘えることなく、常に表現方法を新しく、模索しながら挑戦していきたいというお言葉もありました。 これはどんな仕事にも共通する言葉かもしれません。

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【作家さんと画家さん それぞれのお仕事】
画家さんが作家さんの文章を読み、ページ配分などを決めてゆきますが 黒井先生と薫先生が絵本の完成までのお互いの感情について質問しあう場面もありました。
 「この文章の中でポストが擬人化することにあまり抵抗はありませんでした。 ポストの中をのぞいたら夕焼け、というところも、“そうかもしれないな” と自然に受け止めましたね。 薫さんは逆に自分の文章を絵にされた時の違和感はありますか」
 「自分が憧れている先生が描かれている、ということもあるでしょうが、今回は自分が思ったものを越えていました。 最初のページ (診療所のところ) を見た瞬間、鳥肌がたって大騒ぎ。 私が描きたかったものすべてが漂っていました。 外の空気のひんやりしたところ、逆に診療所内の温かさ、先生の優しさ、信頼されているところ・・・。 一枚見ただけで素敵な作品になると確信しました。 表紙のリスも、ほら、言葉が聞こえてくるようでしょう。 黒井先生に、お願いしてほんとうによかった」
 「文章と絵のバランスというのは、ぼくが読んで自分のイメージを作っていくんだけれど、それって固有のものじゃない? 作家さんはそういった部分をどう感じているのかな」
 「自分だけの世界だと確かに収まりはいいんですが、黒井先生の描かれたものを拝見すると (最初は違うな?と思っていても) もっともっと世界が広がっているんですよね。 作家と画家がそれぞれのイメージをぶつけることによって より多くの読者の納得がいく世界が広がるなって。 黒井先生にこれほどたくさんのイメージを持っていただいて 本当に光栄です。
 特にあの夕焼けのシーン。 私は夕焼けとはひとことも書いていないのに、黒井先生がその通りの絵にしてくださった。 行間を読んでくださっている、同じところに降りてきてくださった、と嬉しかったですね」

黒井先生は最後に 文章と絵の調和をピアノとヴァイオリンに例えられました。 「それぞれ音質は違うけれど、同じ旋律をおっていたらつまらない。 和音の美しさを奏でることが大事です。 ピアノ (文章) が主人公で主旋律を、ヴァイオリン (絵) がそれに沿いつつ 時々音が響いて前に出る・・・そういった形がいいですよね。 できるだけ違和感なく作るように心がけています。 絵だけ主張してもダメですね」

【ちょっぴり黒井先生へ質問】
―――影響をうけた作家・画家はいますか

 「影響ではなく、好きな絵描きさんは二人います。 まずトーベ・ヤンソン。 タンペレ (フィンランド) のムーミン谷博物館に行った時、ペン画がほとんどなんだけれども何気なくみたら本当に素晴らしい。 彼女が点を打つとフィンランドの霧になるし、チョンっとはねると波になる。 ぞくぞくっとしましたね。 彼女に会いたいと3回アプローチして、3回とも断られました。 「絵本について聞きたい」 と申し出ると、「今更言うことはない。すべて本に書いてある」 と彼女がいった。 まったくその通りですよね。
それから、オールズバーグ。 彼のストイックな絵が好きでお会いしたくて3年交渉し、96年にやっと2時間だけ機会をもらって、ボストンの近くにいた彼の自宅へ向かいました。 印象的だったことは 「絵本製作時に誰かに相談しますか」 と質問すると、「しない」とはっきり答える。 編集者にも奥様 (TVディレクター) にも、という同じ質問にすべて 「しない」 。 ぼくも挫けずに 「誰にも相談せずに心細くなったりしませんか」 と続けて尋ねると、「しない。 したら自分の世界じゃなくなる」 と。 なるほど~と思いました。 最後に 「今度日本にいらしたら・・・」 というと 「行かない。 サイン会しか行かない。 本当はどこにも行きたくない」
――と、非常にストイックな方でしたね。 思えばヤンソンもオールズバーグもストイックという点が共通しているかもしれません。 憧れているんでしょうか。 ただぼくの作品と共通する匂いは感じるところはあるかもしれません。 寂しそうなところ、孤独感とか。それがなぜかはわかりませんが」

先生方にお話を伺った後 改めて絵本を読みました。 ラフ画から始まり、歯医者さんの先生の人柄、診療所の構図や全体的なカメラアングル・・また新しい発見がたくさんありました。 でも、先生がお父さんに向けてお手紙を出すところ、その後の夕日のシーンでは ジーンとしてしまうのは前と変わりありません。 いえ、お話を聞いたらやっぱり余計に涙が出てきたりします。 絵本はまず一人で何回も読んで、声に出して読んで、人にも読み聞かせをして、親しい人と一緒に読んで、先生にお話を聞いてからまた読んで、絵もじっくりと眺めて・・・何度も何度も読んでほしいな~と思っています。 この絵本も そうやってじっくりと時間をたっぷり費やして味わってほしい一冊です。

原画がまた素晴らしいので 黒井健先生の 「黒井健絵本ハウス (@清里)」 で 原画展が開催されるのが楽しみですね。 ちなみに絵本ハウスの設計は黒井先生が惚れ込んだ設計士さんにお願いしたといいますから 建物自体を堪能するのもまた楽しそうです。 HPで黒井先生の在館日をチェックして、どんどん清里へ遊びに行きましょう♪


黒井 健
新潟県生まれ。新潟大学教育学部美術科卒業。学習研究社幼児絵本編集部に入り、2年間絵本の編集に携わった後退社。フリーのイラストレーターとなる。絵本、童話のイラストを中心に活躍。1983年、雑誌「詩とメルヘン」に掲載した一連の作品で第9回サンリオ美術賞を受賞。
黒井健絵本ハウスHP

薫くみこ
東京都生まれ。女子美術大学デザイン科卒業。「十二歳の合い言葉」(ポプラ社)で第12回児童文芸家協会新人賞を受賞。「風と夏と11歳―青奈とかほりの物語」(ポプラ社)で産経児童出版文化賞を受賞。2007年、「なつのおうさま」(ポプラ社)で第18回ひろすけ童話賞を受賞。「十二歳シリーズ」、「おまかせ探偵局シリーズ」など著書多数。
薫くみこ公式ブログ とてもキレイな写真いっぱいのブログです☆


※ブログでご紹介しております書籍・グッズはお品切れの場合がございます。予めご了承くださいませ。
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by bh-jinbocho | 2009-04-22 11:33 | 絵本作家さんのこと☆
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