BHのマスコット・じんぼうくんがつづるブックハウスの毎日
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「石井聖岳さんにお会いしました☆」
ただいまブックハウスギャラリーにて開催中の 「ツェねずみ(ミキハウス)」 の著者・石井聖岳さんがブックハウスに遊びにいらしてくださいました♪ 今とても売れっ子作家の石井さん、超多忙な中でしたが、貴重なお時間をいただいて この絵本についてのお話をじっくりと伺うことができました。 石井さん、本当にありがとうございます。 

f0101969_1701416.jpg石井聖岳さん。 くっきりしたお顔立ちに、キリンみたいな優しい目が印象的でした。 周囲からは 「電信柱と妙な男(小川 未明作 石井聖岳絵・架空社)」の “妙な男” に似ているねと言われることもあるとか・・・・・・。 ん?f0101969_1720826.jpg

f0101969_173988.jpgさて、この 「ツェねずみ」 は、「ミキハウス 宮沢賢治の絵本シリーズ」 の11作目にあたる絵本ですが、このシリーズをすべて編集されている松田素子さんにもご同席いただいて、石井さんとお二人で作品を振り返っていただきました。


―ツェねずみを石井さんが描かれることになったきっかけから、聞かせてください。
(松田さん(以下、松)) ミキハウスの宮沢賢治絵本シリーズをずっと担当していますけど、どの作品をどの作家さんにお願いするかは、難しいけれど ある種の確信を持って頼みます。 「ツェねずみ」 は最初から石井さんにお願いするつもりでした。 彼は実は、メリーゴーランドのワークショップ ※ の塾生だったのでデビュー前から知っていたんですよ。 だから、つい 「石井くん」 って呼んじゃう(笑)。 今日は石井くんって呼んでもいいかな(笑)。
(石井さん(以下、石)) だから余計に、お話をいただいた時、嬉しかったですね。
(松) 石井くんにとって、描きたい話かどうかっていうのもありましたから、「とりあえず読んで!」 って、文章のコピーを渡したんです。
(石) この 「ツェねずみ」 は初めて読みました。 賢治の文章は絵本になることを前提として書かれた文章ではないから、「どこで区切るか」 をまず考えましたね。 リズムが面白くなるように。 この 「ツェねずみ」 は、本当に嫌味な奴じゃない? 最近ここまで嫌な奴ってないから、書いてて気持ちよかったですよ(笑)。 「これは、賢治が言っているんであって、僕じゃないから」 みたいな気楽さで。 「こいつ、くどいなあ、しつこいなあ」 と思いつつ。
(松) 相手が 「宮沢賢治」 だけに、絵描きの方々はみなさん、力がはいるようですね。 いざ描こうとすると、半端でない作家だということが、ますますわかるから…。

―なるほど。ツェねずみ制作中はそういったことはありましたか。
(石) どんな仕事でも同じように難しいですが・・。
(松) 私は、柱が緑に塗ってあるのは 「へえ」 と思いました。 そういうことって、できそうでできないことではないかと思いましたから。
(石) 今まで 「空は青、山は緑」 みたいなものしか書けなくて、ある意味ふっきれて描けたのは初めてかもしれません。 何かが自由になった感じ。
(松) 緑に塗ったことで 柱が性格を持ってくるというか……。 柱という物をこえて、キャラクター性を持ってくる。 ちょっとした選択だけど、それだけである世界観を変えてしまう
―とても面白いですね。

(松) あと、「ピシャッ・・ (P34-35) 」 と、ネズミ捕りの扉が閉まってしまう画面。 この言葉は賢治の文章の中の言葉ですから、本来なら活字にするところなんですけど、石井くんが描き文字を描いて、それを生かしたいということで、それを選択したんです。 賢治の文章であることは、カギカッコをつけて示すことにしました。 悩みましたけど、結果的にここは、描き文字にして表現したことが生きていると思っています。
(石) 本文中に出てくるアリ (P4-5) も最初はもっと大きく描いていたんですけれど、ラフの時には気にならなくても、原画を書いたら宇宙人みたいになってしまったので(笑)、松田さんに見せる前に描き直しました。
(松) 「アリを巨大に描いてしまうと、ツェねずみが、“相手が大きいから怯えているんだ” というふうに捉えられてしまうと困るなという気持ちもあった」 って言ってたよね…。
(石) ええ、そうです。あと、この絵本では 「まどうて」 というフレーズがテーマ、重要なことと思ったので、このページを増やしたかった。 ここは繰り返し繰り返したくさんページをとって、ツェねずみの嫌なところを強調すると、絵本として面白いと思ったんです (P11,20-21) 。
(松) どういう風に文章を区切ってページ割をするか、その構成によっても、まったく印象のちがう絵本になる。 作家がどんなふうにその作品を理解したか、読んでいるのかというのが、そういうところにも出る…。 面白いところですよね。





―「ツェねずみ」でお気に入りのページはありますか。
(石) うん、(ペラペラページをめくりながら) 意外とこういうところが好き (P28-29 下男の手のアップ)。 手は、美大でデッサンしていると親指より人差し指が長くて細くて・・という感じですよね。 だから、こういう手 (迫力があるが、写実的ではないイメージ) は あまり描けないものなんですよね。 でもこの手は、下男の手で、ごつごつもじゃもじゃしているのが分かるじゃないですか。 力仕事してるのが分かる。 絵なんだからこういう風に書けばいいじゃないか、写真でないのだからという感じです。

―観察、デッサンなどはあまり?
(石) 今回ねずみの写真や実物を見たりはしませんでしたね。 今回はイメージで。 写真などをあんまり見すぎるとリアルすぎて不自然になる気がして。 でもあまり見なさすぎると 「ねずみだ」 と思えなくなったりするから、その辺は難しいんですけれどね。 風景なども、あまり調べたりしないですね。 描いているうちに決まる。 逆に 「こうしよう」 と思ってもそういう風にならないから。

―絵はどのように描かれますか。
(石) アクリル絵の具です。 いろいろなタイプの筆で。 ボロボロになったのを使ったり、指を使ったり。 ラフは・・最近あまり書きませんね。 ラフは鉛筆で書くので、原画を2回書くようなしんどさがあるんですよ。 原画を描いてダメならまた書きなおした方がいいです。 上塗りもできるので、納得できるまで “こねくりまわし” ます(笑)。 ぼく、全然満足できるタイプじゃないんですよ。 いつも 「消えたい、穴に入りたい」 と思ったりね。 何度も描き直したりして。 でも、ある作家さんから 「最初に描いた絵はボツにした」 ということを聞いて 「ぼくだけじゃないんだ!」 と(笑)。 先輩はしゅしゅしゅっと描いている天才に見えますからね。

―構図などもラフの段階で決まりますか。
(石) ぼくはもっとヘタクソに書きたいと思っている。 松田さんは 「 『ツェねずみ』 の扉絵は、まるで映画が始まるみたいでとってもいい」 とおっしゃってくれるけど、あまり映画の映像として捉えようとすると、今度は逆にそれに捕らわれてしまいます。 「上手な絵」 になってしまう。 遠近感・奥行きなどにとらわれてしまう。 すると見取り図を描きたくなってしまったりと、絵がちぢこまってしまうのが嫌。 バーンと描けたらいいですよね。 ぼくとしては、この扉の絵みたいなものも描けて、小学生のような絵も描けるというのが理想です。 まだできていないですけれど。 信じてやるしかないですね。

―石井先生は煮詰まったりした時はどういう風に打開するんですか。
(石) 打開策はなくて、とにかくとことん考えますね。 いい意味で 「あきらめる」。 100枚描けば一枚いいものができるだろうという気持ちで。 スランプの時は、ラフを外で描いたりします、スーパーの休憩所とか、駅のホームとか(笑)。
―えーーーっ。スーパー、ですか?
(石) けっこう集中できるんですよ。 先日なんて、スーパーでスケッチブック抱えながら 「あ~だめだ!」 とか悶々していたら、傍にいた見知らぬおじさんに 「なにやってんの」 とか言われて飴までもらいました(笑)。 「沖縄の空を想像してごらん」 とか言われたりね。 「パン買ってきてあげるから」 と言われて待っていたら最後は 「お金がなかった」 って(笑)。

―それでは、一冊出来上がった後は 作品が愛おしくてしょうがないですよね。
(石) いや、一冊できた後は 「基本関係ない」 なんです。 作家が泣いて描こうが、読んだ人には関係ないですよね。 だから、ぼくがどれだけ苦しもうが関係なく、読んだ人が面白いと思ってくれたらそれでいいと思っています。

―周りの方からツェねずみの感想は届いていますか。
(石) みんな 「よかったよ」 って。 大人ですから(笑)。 逆に 「ダメ」 と叱ってくれる人がほしい! (松田さんに向かって) 絵本塾に戻りたいですよ!
(松) おそらく、デビューする以上に、作家であり続けることの方がもっと大変かも。
(石) 自問自答のくせをつけないと、自分の足で歩けなくなる、ですよね。 きびしい人どこかにいないかなあ(笑)。
(松) 編集側だって同じですよ。 私だって、自信満々で物事をやったことはないです。 でも、自信がないことが逆にいいんだと思うようになりました。 どうしよう…と思ったら、考えるし、探すし、それが自分を伸ばすことにも繋がると思うから…。 変な自信は自分を止めるし殺しちゃうと思うから、もったいないですよね。 石井さんに限らず、一線を走っている人はみなさんそうだなって思います。 いつも探している。 だから一線なんでしょうね。 私もそうありたいなって思ってます。

―好きな絵本作家さんはいますか?
(石) 大道あやさんは好きです。 初めて絵本ファンの人の気持ちが分かりましたよ、絵本を見て 「わ~」 と思う感じ。
(松) 「かっこよくて、ちょっとこじゃれてて、デザイン的な絵」 を描ける人は多いけど、「絵本を描く」 という意識、覚悟、筋肉の使い方は、一枚の絵ではないし、ちょっとまた違う才能や意識が必要だと思うんですよね。
(石) 一枚の絵だったらすぐに描けるんですよ。 でも、絵本は展開で 「めくる」 という流れを考えるのですよね。 構成力が大事。 ぼくもっと 「不器用」 になりたいです。 ちょっとがんばったら器用に描けちゃうんですよ。 気を抜くと 「はっ!うまくなっている!」 みたいな(笑)。
(松) そうそう、「そういう意味で」 なんだけど、絵本のワークショップで、相手によっては 「これ以上、うまくならないでね」 って言ったりすることがありましたね(笑)。
(石) いろんな可能性に挑戦していきたいですよね。 一般的にキュートって目がまんまる、みたいなイメージがあるけれど、ぼくが可愛いと思っていることは違う。 左手で書いた絵の方が魅力的みたいなところありますね。 だからぼく、大道さんの絵が好きなんですよね。

―石井さんが絵本作家になろうとしたきっかけは。
(石) 美大では版画をやっていて、初個展をメキシコで開催したりしたんですが、いざ卒業する時に自分が版画で生きている姿を想像できなくて続けるか迷いました。 絵本コンテストに応募したこともあったし、絵本サークルに入っていたこともあります。 そんな時、絵本塾の存在を知りまして。 版画家より絵本作家というものの方が想像できたんですね。 直感でした。 絵本塾に入ったら毎回絶対作品を持っていこうと決めてました。 ある時、絵本塾に新人作家を探している出版社の方がいらして、ぼくの絵が選ばれたことがきっかけでデビューしました。 それが内田麟太郎さんの文章の 「つれたつれた(解放出版社)」 です。

―とてもスムーズな絵本作家の道だったんですね。
(石) いや、そうでもないですよ。 2冊目まではちょっと時間がかかりました。 でもいろんな方が目をかけてくれて、ぼくはラッキーボーイ。 誰かの文章に絵をつけることと、作絵両方、どちらも楽しくて苦しいことですが、これからもっと自分の 「絵本」 を描いていきたい。 絵は子どものころからものすごい数を描いているけど、「絵本」 はまだそんなに描いていないという違いもあると思う。 もっともっと絵本を作っていかなくちゃだめだな、と思っています。 今は場数をふみながらどんどんやっていくことですかね。

―楽しみにしています。ありがとうございました。


※メリーゴーランドのワークショップ 四日市のこどもの本の専門店 「メリーゴーランド」 で開催されている プロの絵本作家を目指す人のためのワークショップ「絵本塾」。 編集の松田さんは主催者の増田喜昭さんと共に講師を務めている。

★石井聖岳さんと松田素子さん、本当に楽しいお話をありがとうございました! 本文中にあるように、お二人は旧知の間柄で なんとなく息もピッタリ。 松田さんのフリに石井さんがボソっと答える、その絶妙なタイミングで 同じように このステキな一冊が出来上がったのかと ちょっと灌漑深い気持ちでした。 石井さんはこれからも楽しみな若手作家さんのお一人。 ステキな絵本を待っています。 みなさんも、もしかしたら スーパーなどでスケッチしている石井さんと出会えるかも?! なんてお声をかけましょうか♪


※ブログでご紹介しております書籍・グッズはお品切れの場合がございます。予めご了承くださいませ。
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by bh-jinbocho | 2010-06-07 15:53 | 絵本作家さんのこと☆
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